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日本カジノ産業とゲーミング産業、発展の行方

 ダイジェスト:
 「米国カジノ政策と運営・規制の実態」
 「日本におけるパチンコと米国におけるカジノの法規制に関する比較研究」

 近年、カジノ合法化についてあちこちで議論されるようになっている。カジノ合法化論者は、カジノが“大人の娯楽”や“日本の文化”になる可能性を秘めているという。また、カジノにまつわる経済効果等を目論んで合法化を唱えている。しかし、カジノがこれまで認められなかった最大の理由は、カジノが“ギャンブル”であるからである。したがって、カジノ合法化はカジノがギャンブルであることを認識した上で論じられなければならない。カジノ先進国の米国では、カジノを“ギャンブル”と認識した上で、カジノをどのように発展させ、どのような制限を与えれば国民の幸せと福祉の向上に繋がるのかが盛んに研究されている。

  また、カジノの合法化を論じられるなかで、もう一つ話題になっている論点がある。それはパチンコ業界についてである。パチンコはまさに、“大人の娯楽”として既に国内に存在し、“日本の文化”として浸透している。パチンコが国際的基準から見て“ギャンブル”であるために、もし日本がカジノを合法化した場合、パチンコをどのように扱うのかという問題に直面するのである。カジノの合法化を考える際に、“ギャンブル”に対する法律および倫理に対する議論が不可欠であるように、既存のパチンコの法的立場や取締まりシステムの見直しを考えることも避けて通れないのではないだろうか。それらの議論がきちんと行われてこそ初めてカジノが堂々と日本に誕生するはずである。

  そこで参考になる研究レポートを2冊紹介しよう。「米国カジノ政策と運営・規制の実態」(野村紀代美著2002年3月)と「日本におけるパチンコと米国におけるカジノの法規制に関する比較研究」(シャノン=バイビー著1998年6月)である。いずれも(株)エース総合研究所(現エンターテイメントビジネス総合研究所)から発行された研究レポートだ。

  I. 「米国カジノ政策と運営・規制の実態」

1. 概要

  この研究レポートの目的は、合法カジノの成功とその維持のために不可欠な要素は何か、政府の政策と法規制はどう影響するのか、そして取締官や取締り機関はどうあるべきなのかを明らかにすることだ。
それらを明らかにするために、米国のギャンブル政策(以後、ギャンブルではなくゲーミングとする)の歴史や各州のカジノ政策、規制および取締りシステムの実態などが詳しく紹介されている。

  まずはネバダ州がどんなゲーミング政策の歴史を辿ってきたのかを説明している。なぜなら、ネバダ州のゲーミング政策の歴史は米国全体のゲーミング政策の歴史を反映しているからである。そして、その歴史が今どこに辿り付いたのか、つまり現在の米国のゲーミング業界全体の様子を紹介。これにはカジノはもちろん、宝くじ、競馬などの配当式賭け事、スポーツブック、インターネットゲーミング、そしてインディアンゲーミングが含まれている。
この後は、カジノに焦点を絞って説明を続けている。まずは、カジノを合法とする11州のプロフィールと現状を紹介。このプロフィールには、カジノの軒数に始まり、雇用者数、総売上、総納税額、税金の使われ方、ゲーミング税率などが含まれている。そして、カジノを合法とする11州の中からネバダ、ニュージャージー、ミシシッピの3州に的を絞り、カジノゲーミングに対する見解や管理・取締りシステムの違いを説明している。

  例えば、ネバダのカジノ業界は最高意思決定機関であるネバダゲーミング委員会と、日々の取締まりや監督、ライセンス申請者の身元調査などを行うゲーミング管理委員会の2機関によって管理されている。本書では、州法がこの2機関の委員およびスタッフに対して定める厳しい規範から、それぞれの委員となるにふさわしい人物の条件、委員の給与などを紹介している。また、ゲーミング管理委員会のビジョンや使命、目的、そして各部署の業務内容から委員会全体の年間の運営経費も報告している。

  さらに、カジノ産業が世界中で最も発展しているネバダ州にスポットライトを当て、ライセンス、運営、会計監査、規制6A(現金取り扱いに関する禁止事項および報告の義務)、排除者リストに関する具体的な法規制を紹介。

  例えば、ライセンスを取り上げると、ネバダ州ではゲーミング委員会が発行したライセンスは全て、ゲーミング委員会が一方的に取り消すことのできる「特権」であり、「権利」ではない。従って、ライセンス保持者はいかなる権利も主張することができない。本書では、なぜ認可が必要なのか、即ちライセンスの根本的役割に始まり、カジノ関連ライセンスの種類、認可の諸条件、およびライセンス取得までのプロセスが説明されている。また、ライセンス申請書の原本と翻訳版などが巻末資料として付けられている。

  2. レポートの論点

  このレポートには論点が2つある。

?@ カジノに対する政府の政策と法規制が住民およびカジノ産業の潜在的利益や損失を決める

 政策のあり方次第で、法規制の性格は変わる。カジノ政策が法規制や取締りシステムの型作りに大きな影響を及ぼすのだ。そして法規制の性格はカジノ産業の発展に多大な影響を与える。というのも、どれくらいの税収を見込むのか、どれくらいの社会コスト(組織犯罪や依存症など)を覚悟するのか、どれくらいの機会コスト(規制しなかったら得られていた可能性のある税収や経済効果など)を切り捨てるのかなどの範囲を法規制が決めてしまうからだ。これは、地域住民や社会全体の利益と損失を限定するということである。さらに、法規制はライセンスの発行や取り消しを通して業界の競争レベルや種類を決め、カジノの運営条件や経営者・運営者・従業員の条件なども決めてしまう。従って、カジノ業界の潜在的利益と損失もあらかじめ限定する役割を政策や法規制は持っているのだ。

?A 合法カジノの成功とその維持に必要なものは、1)業界に対する公衆の自信と信頼、2)適切な資金調達、3)強靭な管理監督システムの存在である

  カジノが州民の福祉に重要な合法ビジネスとして存続するために何よりも必要なものは、カジノが正直に運営され、犯罪行為や腐敗性から開放されているという公衆の業界に対する自信と信頼である。

  また、カジノが成功し、発展するためには、上場企業が参入しやすいビジネス環境を整える必要がある。上場企業が参入することによって、カジノが健康なビジネスとして認められ、投資家たちからの資金調達が可能になるからだ。さらに、カジノの財務がオープンになることによって、これまで公衆がカジノに対して持っていた悪いイメージの払拭にも繋がる。カジノの運営者たちは株主に対する責任から、株価を左右するようなスキャンダルや不正の無い健全経営に努めるようにもなるだろう。

  そして、政府がカジノの取締まりシステムに関与せず、カジノの規制者が必要以上の絶対的権力を持たないようにすることが不可欠だ。なぜなら、業界の潜在的な利益や損失を決定するほどの力を持つ政府とカジノ業界との関係は、金銭等が絡むスキャンダルを生む土壌を作る可能性があるからだ。そこで、政治と切り離され、公平に職務を遂行することのできるプロフェッショナルで強靭な管理監督システムを作らなければいけい。また、業界の成功と発展を補助し、その結果政府が適切な税収入を獲得できるようにすることもこの機関が持つ重要な役割だ。

  将来、日本がカジノを合法化するとしたなら、一体どんなカジノ業界が形成されるのだろう?それは、合法化を進めるにあたり、政策作りに携わる人々がどんなビジョンを持つかにかかっている。つまり、カジノを作ることでどんな幸せと福祉を国民にもたらしたいのかという理想である。カジノを独立した新たな産業として育て、経済的発展を大いに促進するつもりなのか。それとも観光やリゾート産業に付加する形に留め、認可都市を制限して、経済的発展を限定するつもりなのか。この本は、そんな人々がビジョンを描く上で非常に参考となる1冊だ。

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文責;EB総研 客員研究員 高橋 紀代美


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