ニュージャージ州カジノ合法化の歴史から学ぶ

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 ニュージャージ州カジノ合法化の歴史から学ぶ  

ニュージャージ州カジノ産業の概容

 ニュージャージ州はアメリカ合衆国東海岸に立地する州であり、州面積は非常に小さいが人口規模ではアメリカ50州中9位という比較的大きな人口を抱える州である。米国カジノ業界においては、ネバダ州に次ぐ2番目の規模のカジノ市場を持つ州として知られている。

NJmap 8764356

面積 20,295平方キロ
人口 7,364,158人
1人当り所得 10,924ドル
州都 トレントン

 ニュージャージ州のカジノ合法化は1976年に州内でカジノを合法とする法律「Casino Control Act」が制定されることで達成された。それ以降、州のカジノ産業は年々倍増し、2004年現在ニュージャージ州のカジノ産業規模は売上げベースで約45億ドル、州内の直接雇用だけでおよそ4万6千人の労働者を抱える一大産業にまで発展している。

Data1 4133340
NJCCC, “Casino Gaming in Jew Jersey”, 1998を元に独自作成

 

ニュージャージ州のカジノ市場データ(2004年)

営業カジノ数 12
総カジノ収益 約45億ドル
労働人口 4万6千人
総賃金 約12億ドル
カジノ税収 4億1千万ドル
年間総訪問客数 3,220万人

出典;”2004 State of the States”, American Gaming Association, 2004

 

1974年カジノ合法化案 否決

 さて、今でこそ数あるカジノ合法地域の中でも成功例として挙げられる事の多いニュージャージ州のカジノ合法化であるが、実は同州は1974年に提出した第一次カジノ合法化案で市民の猛反発を受け、合法化に失敗したというホロ苦い経験がある。1974年の住民投票の結果は、実に「120万票 対 80万票」という圧倒的多数による合法化案否決であった。

その後、第一次合法化案の否決から2年後の1976年、2度目の住民投票の結果によりニュージャージ州は合法化を果たす事になるわけだが、1974年提案から1976年提案への違いは大きく以下の3点にある。

  • カジノ合法地域の限定
  • 民間主導によるカジノ開発を明言
  • カジノ税の目的税制化

 1974年第一次提案の最大の失敗と言われているのが、カジノ開発をニュージャージ州全域で認める法案を提示した事にある。そもそもニュージャージ州のカジノ合法化は観光産業の振興が主な目的とされていた。だとすれば、州内の主要観光地域でのカジノ合法化に法案を留めるのが自然な流れであるのだが、第一次提案はそういった主要観光地域に合法化を限定せず州内全域でのカジノ開発を可能とするようなものであった。これがカジノの乱開発を恐れる市民からの大きな反発を招き、圧倒的多数による否決に繋がった。1976年提案においてはこの点を大幅変更し、ニュージャージ州の主要観光地域であるアトランティックシティ臨海地域のみで限定的にカジノ合法をする特別区型のカジノ合法化に至った。

次に、1974年の第一次提案ではその提案書内に民間主導によるカジノ開発が明言されておらず、それが行政の大型財政支出に対して不快感を抱く市民の不評を買った。この点に関して、2年後の再提案においては「カジノは民間によって開発されるべきである」という政府方針を明確にし、税金がカジノ開発に利用される事が無い事を示した。

 そして最後の大きな変更点は、カジノ税収の目的税化である。実は、1974年の第一次提案におけるカジノ税収は州政府の一般歳入に組み込まれる事になっており、その用途は明らかにされていなかった。1976年の第二次提案においてはこの点が大きく修正される事となり、カジノ税による歳入を特別会計化し将来的に拡大するであろう州の福祉政策を主な用途として設定した。現在、ニュージャージ州のカジノ税はそのおよそ90%、毎年約3.8億ドルが市民の福祉拡充に使用されている。

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出典;NJCCC , “New Jersey Casino Revenue Found”, 2003を参考に弊社編集

 

ニュージャージカジノ合法の歴史から学ぶ

 さて、最後に今回ご紹介したニュージャージ州のカジノ合法化の歴史より学べる、幾つかのエッセンスをまとめてご紹介してみたいと思う。

 

エッセンス1;
 カジノ合法化の目的は何なのか?を明確にし、それに相応しい合法化案を考える事が重要である。また、合法化目的にあまりにたくさんの要素を詰め込みすぎるのは、逆に本来の目的を不明瞭にしてしまう可能性もある。
エッセンス2;
 カジノ開発のために行政の大型財政支出を行うようなプランは市民の理解を得難い。民間資本の活用と、公共の福祉をバランス保てる良い「落し所」を探そう。
エッセンス3;
 カジノ合法化で市民はどのような利益を得るのか?それを判りやすく説明する事が重要。その為にはカジノ税を目的税制化する事も一つの案である。

 今回ご紹介した、ニュージャージ州の合法化の歴史はこれからの日本カジノ合法化論議においても非常に参考になるものである。

 

参考文献;
Dombrink & Thompson “The Last Resort”, 1990, University of Nevada Press
NJCCC, “Casino Gaming in Jew Jersey”, 1998
American Gaming Association, “2004 State of the States”, 2004
NJCCC , “New Jersey Casino Revenue Found”, 2003


文責;EB総研 研究員 木曽 崇

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